腰椎分離症の高校生|引退までの時間と向き合う親のサポートを解説する記事のアイキャッチ

「あと半年で最後の大会なのに、今、腰を痛めている場合じゃない」。整形外科で腰椎分離症の疑いを告げられた帰り道、そう思わず口にしてしまった保護者の方は少なくないかもしれません。練習を休むように言われても、本人は「みんなに置いていかれる」「せめて大会までは」と焦り、家では会話がぎくしゃくしてしまうこともあります。治療の期間と、引退や大会までの限られた時間が、どうしても綱引きのようになってしまうご家庭を、これまで何度も見てきました。

こんにちは。名古屋駅近くで「きりん接骨院 名駅院」を運営している柔道整復師の三ツ村崚聖です。施術歴20年以上・延べ11万回以上の施術を通じて、成長期のお子さんとそのご家族に向き合ってきました。この記事では、腰椎分離症と診断された、あるいは疑われる高校生のお子さんを持つ保護者の方に向けて、症状の基礎知識から、限られた時間の中でご家庭と当院それぞれにできることまでをお伝えします。

高校生に多い腰椎分離症の症状と状況

どんな痛みが出やすいか

腰椎分離症は、腰の骨の一部に繰り返しストレスがかかることで生じる疲労骨折の一種とされています。体を反らしたときや、ひねりを伴う動作、ジャンプの着地などで腰に痛みが出やすいと言われます。練習中は気にならなくても、練習後や翌朝に痛みを感じるというケースも見られます。

単なる筋肉疲労と見分けがつきにくいことも多く、「少し休めば良くなるだろう」と本人も保護者も思ってしまいがちです。だからこそ、痛みが数日以上続くようであれば、自己判断だけで様子を見続けないことが大切だと考えられます。

まずは整形外科へ(医師の指示が最優先)

腰の痛みが数週間続いている、足にしびれや脱力感がある、じっとしていても痛む、といったサインがある場合は、自己判断で様子を見ず、できるだけ早く整形外科を受診することをおすすめします。腰椎分離症かどうか、骨のどの段階にあるかは、レントゲンやMRIなどの画像検査でなければ判断できません。私たちは医師ではないため、診断はできません。まずは医療機関で状態を確認してもらうことが、遠回りに見えて一番の近道になると考えられます。

受診の際に伝えておきたいこと

診察の時間は限られていることが多いため、事前に情報を整理しておくと医師に状況が伝わりやすくなります。いつごろから、どんな動きをしたときに痛みが出るのか、部活動の種目や練習頻度、大会や引退の時期の見通しなどをメモしておくとよいでしょう。競技のスケジュールを具体的に伝えることは、今後の治療方針を相談するうえでも役立つと考えられます。

進行の段階によって対応が変わること

腰椎分離症は、骨にひびが入り始めた初期の段階か、ある程度進行した段階かによって、必要な安静度や治療方針が変わってくると言われています。同じ「腰椎分離症」という診断名でも、お子さん一人ひとりで状況は異なります。学校生活や部活動でどこまで動いてよいかは、主治医の指示に沿って判断していただくことが前提になります。

なぜ高校生のその子に起こったのか

成長期の骨と繰り返しの負荷

高校生の年代は、骨の成長がまだ完全には終わっていない時期にあたることが多いとされています。そこに練習量や強度が増す部活動の負荷が重なると、腰の骨に疲労が蓄積しやすくなると考えられます。真面目に、休まず練習に取り組んできたお子さんほど、こうした負荷が積み重なりやすい面もあるかもしれません。

種目特性と練習量の変化

腰を反らす、ひねる、ジャンプするといった動作が多い競技では、腰椎分離症が起こりやすいと言われています。また、中学から高校に上がるタイミングで練習量や試合数が増え、体がその変化に追いつかないまま負荷だけが増えてしまうこともあります。強豪校への進学やレギュラー争いをきっかけに練習時間が一気に増える時期でもあり、負荷の変化に体づくりが追いついていないケースも見受けられます。同じような成長期の負担については、当院の中学生向けの記事「腰椎分離症の中学生と保護者の方へ」でも詳しく触れています。

腰に負担を集めやすい体の使い方のクセ

私たちがお子さんの体を見せていただく中で気になるのは、股関節や胸郭、足首の硬さ、あるいは体の使い方のクセです。股関節が思うように動かないと、本来股関節が担うはずの動きを腰が肩代わりしてしまい、結果として腰の一点に負担が集中しやすくなると考えられます。胸郭が硬く、上半身をひねる動きが乏しいと、その分だけ腰でひねりを補おうとする傾向も見られます。「なぜこの子に起きたのか」を考えるとき、腰だけでなく全身の使い方に目を向けることには意味があると私たちは考えています。

限られた時間の中でできること

家庭で意識したいこと

まず大切なのは、医師の指示された安静度や練習可否の範囲を守ることです。痛みがあるのに独自の判断でストレッチやトレーニングを追加するのは避けたほうがよいでしょう。一方で、食事や睡眠といった体の回復を支える生活習慣は、ご家庭で意識しやすい部分でもあります。焦る気持ちはあっても、まずは体を休められる環境を整えることが回復の土台になると考えられます。

また、本人が「置いていかれる不安」を口にしたときは、その気持ちをまず受け止めてあげることも大切です。焦りを否定するのではなく、いったん一緒に受け止めたうえで、今できることを整理していく関わり方が、結果として本人の気持ちの安定につながることもあると感じています。

当院でのアプローチ

当院では、腰椎分離症そのものの診断や骨の癒合の管理は行いません。それは医療機関の領域だと考えているためです。当院が担っているのは、医療機関での治療と並行して、体の使い方や柔軟性、全身のバランスを整える役割です。

具体的には、FJAという評価法で関節の主運動・副運動やファシア(筋膜)の滑走、神経による体の制御の状態を確認し、股関節や胸郭、足首など、腰に負担を集めている背景にある動きのエラーにアプローチします。あわせて、体をひとつのユニットとして捉える姿勢循環整体を組み合わせ、全身の姿勢や血流・リンパの巡りを整えることで、体が本来の状態に戻ろうとする力を引き出せるよう工夫しています。強い刺激やいわゆるバキバキとした矯正は行っていません。

実際にご来院いただいた高校生の例

陸上競技に取り組む高校2年生の生徒さんが、整形外科で腰椎分離症の初期段階と診断され、医療機関での治療と並行して当院にお越しになったことがあります。体を見せていただくと、股関節の動きが硬く、走る際に腰から反ってしまう癖が見られました。股関節と胸郭の動きを引き出す施術と、姿勢循環整体による全身のバランス調整を続けました。

その結果、「立っているときの腰の張り感が減った気がする」「体が軽く感じる」といった声を、本人と保護者の方からいただいています。ただし、経過には個人差があり、すべての方に同じ変化をお約束するものではありません。あくまで一つの例としてご理解ください。

少ない時間でも取り組みやすい工夫

引退や大会までの時間が限られている中では、来院の頻度や施術の内容についても、学校生活や治療のスケジュールに合わせて相談しながら進めることができます。部活の合間や下校時間に合わせて通える範囲で、無理のないペースを一緒に考えていくことも可能です。時間が限られているからこそ、優先順位をつけて取り組むことが大切だと考えています。

やりがちな間違い

痛みを我慢して練習を続けてしまう

「引退まであと少しだから」という気持ちから、痛みを我慢して練習を続けてしまうケースは少なくありません。お子さんが競技を続けたいと思う気持ちは、とても自然で大切なものです。ただ、無理を重ねることが、かえって競技人生全体を見たときに長い休養につながってしまう可能性もあるため、まずは医師の指示の範囲を守ることを優先していただければと思います。

コルセットの着脱を自己判断してしまう

コルセットをいつから使うか、いつ外すか、どのくらいの期間装着するかについては、当院からお伝えできることはありません。これらはすべて主治医の指示に従っていただくようお願いしています。「そろそろ大丈夫そうだから外してしまおう」といった自己判断は避け、診察のたびに主治医に確認しながら進めていただくことが安心につながると考えられます。

治ったつもりで急に元の練習量へ戻す

痛みが軽くなると、そこで安心して一気に元の練習量へ戻したくなる気持ちもよく分かります。ただ、痛みが引くことと、腰の骨や体の状態が練習に耐えられる状態に戻ることは、同じとは限らないと言われています。復帰の進め方については、当院の記事「腰椎分離症からの復帰について」でも段階的な考え方を紹介していますので、あわせてご覧いただければと思います。

保護者だけで抱え込んでしまう

治療のスケジュール調整や学校への連絡、本人の気持ちのケアまで、保護者の方おひとりで抱え込んでしまう場面もよく見られます。医療機関や当院、学校の顧問など、頼れる先が複数あることを知っておくだけでも、気持ちの負担は変わってくるかもしれません。一人で全部を判断しようとせず、周囲に相談しながら進めていただければと思います。

まとめ

保護者の方に大切にしてほしいこと

引退までの時間が限られているからこそ、焦りが生まれるのは自然なことです。それでも、診断や治療方針の判断は医師の指示が最優先であることに変わりはありません。お子さんの「続けたい」という気持ちを頭ごなしに否定せず、医師の説明を一緒に聞きながら、今できることを一つずつ整理していく姿勢が、結果としてお子さんの安心にもつながるのではないかと考えています。

当院にできること

当院は、腰椎分離症の診断や骨の癒合の管理を行う立場にはありません。医療機関での治療と並行して、股関節や胸郭、足首の硬さといった腰に負担を集めている全身の使い方を見直し、復帰の準備と再発予防につながる体づくりをお手伝いすることが、当院の役割だと考えています。腰椎分離症について、より詳しい当院の考え方は「腰椎分離症への施術について」のページでもご紹介しています。

ここまでの内容を振り返ります。高校生の腰椎分離症と向き合ううえで、押さえておきたいポイントは次のとおりです。

  • 腰椎分離症の診断や治療方針の判断は、整形外科の医師の指示に従うこと
  • 強い痛みやしびれ、安静時の痛みがあるときは早めに医療機関を受診すること
  • コルセットの着脱や期間も自己判断ではなく主治医の指示に従うこと
  • 腰の負担は股関節や胸郭、足首など全身の使い方とも関係していると考えられること
  • 当院は医療機関の治療と並行して、体の使い方や柔軟性を整える役割を担っていること

また、高校生のお子さんを持つ保護者の方からは、腰椎分離症とは別に、朝起きられない、立ちくらみが続くといったご相談をいただくこともあります。思い当たる場合は、当院の記事「高校生の起立性調節障害について」もあわせて参考にしてみてください。

きりん接骨院 名駅院は名古屋駅から徒歩3分。学校帰りや部活の練習帰りにも通いやすい立地です。お子さんご本人が来院しづらいときは、まず保護者の方だけでのご相談も歓迎しています。腰椎分離症の診断や治療の見通しについては主治医にご確認いただきながら、体づくりの面で気になることがあれば、どうぞお気軽にお声がけください。

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